2014/01/06

名酒センター店長オススメ



酒呑み比べ オススメの清酒

全国の40の酒蔵が営む共同アンテナショップ・名酒センター。ここでは有料試飲ができる。1杯300〜円、3杯試飲で100円引き。1杯60mlなので、3杯だと1合。「酒呑み比べ」は名酒センターと、長野の酒蔵のアンテナショップ・信州おさけ村に協力いただいてる。どちらも好みを伝えれば、好みに合った清酒を勧めてくれる。

ということで、名酒センターの店長に好みを伝えて、オススメ清酒を試飲。

呑み比べた3本

旭蔵舞(京都・竹野酒造) 純米
Alc:15・酒度:ー2・精米歩合:60%(旭)

竹野酒造は1947年創業。酒銘は酒米によって「亀の尾蔵舞」「旭蔵舞」「祝蔵舞」「錦蔵舞」「祭蔵舞」がある。

「旭蔵舞」は、酒米「旭」を使っている。「旭」は1911年に生まれて、その後に西日本で広がった。品質は良いが、作付が難しいために、現在はほとんど作っていない幻の酒米。無農薬「旭」で作った「旭蔵舞」は、爽やかな香り、優しく澄んだ味わい。甘口の食中酒。

鳳鳴田舎酒 直汲み無濾過生原酒(兵庫・鳳鳴酒造) 純米吟醸
Alc:18〜19・酒度:+7・精米歩合:60%(杜氏の夢)

鳳鳴酒造は1797年創業。創業時の蔵名は西尾酒造。1945年に13の酒蔵が合わさって多紀酒造に、1996年に鳳鳴酒造に改名。酒銘は「鳳鳴」。振動に変えた音楽を酵母に与えながら作った「音楽振動醸造酒」がある。

「鳳鳴田舎酒」は、元来の清酒の濃醇な旨味、深い重い味わいを求めたシリーズ。その中の兵庫の酒米「杜氏の夢」で作った1本。無濾過生原酒。瓶内二次発酵しているため、微発泡が楽しめる。そのせいか、深い重い味わいは優しく広がり、濃醇な旨味はたしかにあるが、思ったより感じない。わずかに呑んだ後の余韻で感じる。

金升 朱ラベル(新潟・金升酒造)
Alc:15・酒度:?・精米歩合:?%(五百万石)

金升酒造は1822年創業。創業時の蔵名は髙橋酒造。1930年に改名。「碧ラベル」と「朱ラベル」、「碧ラベル」の非熱処理の「本醸造生酒」がある。安くて旨くて毎日の晩酌に呑んでほしいという、普通酒にこだわった酒蔵。

「碧ラベル」は醸造アルコール、「朱ラベル」は自蔵蒸留の米焼酎「かねます」を柱焼酎として加えた普通酒。「朱ラベル」は淡麗辛口。喉ごしの良い、キレのある味わい。蔵元は燗酒を勧めている。

純米嗜好の現在。醸造アルコールを加える「アル添」を嫌う。だが、嫌われても醸造アルコールを加えるのはなぜか。昔は腐造回避、味覚調整のために柱焼酎を加えていた。その後に、戦後の米不足で、増量のために醸造アルコールを加えた。さらに水を加えて三倍増醸清酒を作った。今は腐造回避、増量のために加える必要はなく、味覚調整のために加えている。

ただ、自蔵蒸留の柱焼酎と違って、醸造アルコールは、その原料や蒸留方法に不安、疑問もたしかにある。酒蔵は、その意図、詳細をはっきりと書いてほしい。

注記
酒度:糖分を測った甘口、辛口を示す目安。プラスは辛口、マイナスは甘口。ただ、「甘い」という味わいは、糖度だけではなく、酸度、アミノ酸度、アルコール度、さらには呑む温度に関わるので、酒度は、あくまで目安。

無濾過:醸造後、残っている滓を取り除く濾過作業。濾過によって無色の清酒となる。その作業を行わないので「無濾過」。雑味があって、この雑味を複雑な味わいとして好まれている。

生酒(生原酒):濾過後、熱処理(火入れ)で酵母の活動を止める。また殺菌を行う。酒質安定、常温や長期保存のための作業だが、みずみずしい香りや味わいがなくなるという。また、昔と違って製造技術、輸送管理の優れた今は必要ないということで、熱処理してない生酒、無濾過生原酒が好まれている。瓶内で二次発酵しているため、微発泡が楽しめる。

柱焼酎:清酒の伝統製造で、醸造時に米焼酎やかすとり焼酎を加える。腐造を防ぐためと、味をしめる(しゃんとする)ために加えた。明治時代以後、醸造アルコールができて、柱焼酎の代わりに加えるようになった。

かすとり焼酎:日本酒の酒粕で作った焼酎。「粕取り」が語源。ちょっとクセがある。戦後の「カストリ焼酎」は「酒粕で作った粗悪な密造焼酎」。まったく違うので。

醸造アルコール:食用エタノール(酒精)。主に糖蜜(サトウキビ)、他にサツマイモ、トウモロコシなどを発酵、蒸留したもの。36度未満は甲類焼酎、ホワイトリカーとして売られている。

三倍増醸清酒:戦後の米不足から、醸造アルコールや色々なものを混ぜて薄めて作った日本酒。醸造アルコールといっても原料はわからない。3倍くらいになるのでこう呼ぶ。

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