2013/12/31

やまと+謎の激安チェーン酒場の話



酒呑み歩き 新宿・やまと+謎の激安チェーン酒場の話

新しいせんべろ酒場を探して呑み歩いた。

いつもの酒場以外で、いいところはないかと探していたら、東五反田に「ぼたん」という中生160円(当時価格)の酒場があると聞いた。

肴はちょっと高い。あと、通し代が300円。

しばくしたら、渋谷に「すみれ」という中生120円(当時価格)の酒場があると聞いた。

店頭の外装も、店内の内装も、メニューも「ぼたん」と同じで、通し代が400円。

しばらくしたら、新橋に「コン」という中生80円(当時価格)の酒場があると聞いた。

店頭の外装も、店内の内装も、メニューも「ぼたん」「すみれ」と同じで、通し代が400円。あまりに同じなので、気になってスタッフに聞いたが、チェーンではない、と。

しばらくしたら、新宿に「やまと」という酒場があると聞いた。

ちょっとわかりにくい処にあって、店頭の外装は和風、割烹。高級感を出してるが、店内は大箱の大衆酒場。海の家のような内装。若いスタッフ。フォーマットになってるメニュー、ポップ。たこ焼き、ナポリ焼きそば、寿司などが定番の肴。酒はビール(黒ラベル)、ハイボ、サワーは安いが、他の酒はふつう。肴はちょっと高い。ただ、ビールはそんなに呑めないし、ハイボやサワーは作り方しだいで原価は安く抑えられるし、トータルでは決して安くないが、ビールの価格に釣られて入ってしまう。

ちなみに「やまと」は中生は180円(当時価格)。通し代は300円。

ウエブで「裏モンテローザ」「謎の激安チェーン酒場」と呼ばれる酒場。宣伝もせず、いつのまにか都内に20店くらいとなった。店名はバラバラだが、実は南青山にある、謎の「飯田」が営むチェーン酒場。始まりは神楽坂の「竹ちゃん」、もしくは六本木の「松ちゃん」らしい。いつからか、ローコスト、多業態展開のモンテローザに対して「裏モンテローザ」と呼ばれる。チェーンか、FCか、単店採算かはわからない。

酒場に居ると社会がよくわかる。「謎の激安チェーン酒場」はウエブをうまく使った、新しい酒場かもしれない。

でわ。

2013/12/30

日本酒・大利根酒造(群馬)



酒呑み比べ 群馬・大利根酒造

大利根酒造は、尾瀬の麓にある小さな酒蔵だ。

1902年創業。だが、この地で酒造りが始まったのは1739年。その歴史を、酒蔵は受け継いでいる。昔からの酒造り、手造りによる酒。受け継ぐために、守り続けるために、あえて事業拡大を避けているという。

六年貯蔵の純米酒。手間や時間を惜しまないで作った酒。酒米にむかないコシヒカリで作った純米酒。地産地消を思って数年がかりで作った酒。この蔵が最後かもしれない、綿による濾過方式。どれもが蔵元の「みずからが呑みたい酒」を作るという信念だ。

メインの酒銘は「左大臣」。尾瀬の軟水を仕込水に使っている。「六年貯蔵純米酒」は、ふくよかな香り、6年間を濃縮した旨味ある味わい。昔ながらの伝統醸造が醸し出す、昔ながらの香りと味わい。大利根酒造は新酒以外は、必ず2年、3年は寝かせているとのこと。

好き嫌いのはっきりする香りと味わい。日本酒も洋酒も呑む人に勧める。酒を寝かせることのおもしろさを香って、味わってほしい。

他の酒銘に「沼田城」「尾瀬の雫」「花一匁」「奥利根紀行」がある。

ぜひ。

呑み比べた3本
左大臣 純米酒
Alc:15〜16・酒度:+1・精米歩合:65%(?)
左大臣 本醸造生酒
Alc:18〜19・酒度:+3・精米歩合:65%(?)
左大臣 六年貯蔵純米酒
Alc:15〜16・酒度:+2・精米歩合:65%(若水)

2013/12/28

2013/12/27

味の笛+神田酒場の話



酒呑み歩き 神田・味の笛+神田酒場の話

神田を呑み歩く。けっこう呑んだ。けっこう酔った。

立ち呑み屋「味の笛」に入った。立ってれば、まだ呑める。

「味の笛」は、御徒町駅前にあるファミリーデパート吉池が営む立ち呑み屋。吉池は、小売業以外に外食業も展開。そのひとつに、立ち呑み屋「味の笛」がある。神田店は1992年、本店は1997年開店。

創業者出身の新潟の酒、魚介の肴、手づくり総菜を楽しめる。ビール250円、酎ハイ200円、ハイボ250円、新潟の酒が300〜500円。肴は200〜400円。安い、旨い立ち呑み屋だ。

前も書いたが。

有名なチェーンの立ち呑み屋。通しで100円も取られる。酒も肴も決して安くない。別にけちってるわけではない。ただ、立ち呑み屋でチャージは、その価格はないだろう。立ち呑み屋は立って軽く、早く、そして安く呑む処と思っている。そういう処と思って入る。だが、チャージを、その価格を言ってくるならば座りたい。ゆっくり呑みたい。

それでも「安い」「CP凄い」というレビューを見ていると、「酒呑み」と「酒を呑みたい人」は違うと思った。まあ、サービスも悪いし、客筋も悪いし。まあ、もう入らないけど。

ちなみに「俺のやきとり」ではない(笑)。

話を戻して。「味の笛」で呑んで驚いたのは、神田酒場は客筋が見事に分かれている。地元人、若いサラリーマンとオヤジのサラリーマン、ひとり呑み、ふたり呑み、グループ。店によって客が違う、客によって店が違う。「味の笛」はちょっと疲れた(失礼)サラリーマンで賑わう。

もっと驚いたのは、どの店も客筋がとってもいい。若い人もグループも騒がない。ここは騒ぐために酒を呑む処ではない。酒を呑んで騒ぐ処でもない。酒を呑んで楽しむ処だ。楽しみ方は色々。話す、本を読む、たゆたゆと寛ぐ、ただ旨い酒と旨い肴を楽しむ。そういう処だ。

この神田という街が、ずっと醸しだしてきた気風かもしれない。この気風を失わないような、新しい街に。大衆酒場を新しい形で続けてほしい。

でわ。

2013/12/26

カップ酒を楽しもう!(2)菊水の話



酒呑み比べ カップ酒の呑み比べ(後編)

最近、小さな酒蔵が、おしゃれなカップでカップ酒を出して再びブームになっている。

呑み比べたカップ酒の、皇国晴酒造の「豪華生一本」は、その先駆的存在。シンプルで、花模様以外は酒銘も、蔵名も書かれていない。呑み終わったら、花瓶になるような秀逸なデザインだ。CMで有名になった「生一本」のカップ酒。

皇国晴酒造は1887年創業の、富山の酒蔵。創業時の蔵名は岩瀬酒造。名水百選のひとつが、しかも軟水と硬水のふたつが蔵内に湧き出ている全国唯一の、恵まれた酒蔵だ。1984年に作られた「幻の瀧」で、「生一本」はセカンドブランドになったが、伝統を重んじた清酒を作り続けている。

その真逆にあるのは「ふなぐち菊水一番しぼり」だ。「大関」や「豪華生一本」の洗練なデザインと真逆の、ちょっと…なデザイン。だが、酒好きにとって有名なカップ酒だ。

「ふなぐち菊水一番しぼり」はガラス製ではなく、アルミ製のカップ酒。缶に、そのワケが書かれている。

今はあたりまえのように生酒が売られているが、生酒は熱処理(火入れ)しないと腐敗、劣化する。昔の技術で生酒を売るのはできなかった。だが、試行錯誤のすえにアルミ缶によってできた。つまり菊水酒造は、40年前の1972年に、カップ酒で生酒を出した唯一の酒蔵だ。加水調整もしてないので、19度。

醪を酒と酒粕に分けるための酒槽から出る原酒を、菊水酒造は「ふなぐち」と呼んだ。また、キリンビールは「一番搾り」を出す際に、酒銘使用の挨拶があったという。「ふなぐち菊水一番しぼり」という長い酒銘に込められたのは。

「ふなぐち菊水一番しぼり」は、缶内熟成によって半年でブランデーのような味わい、1年で中国の老酒のような味わいになるという。熟成が待てない人は、1年熟成の「熟成ふなぐち菊水一番しぼり」を。新米で作った秋季限定発売の「新米新酒ふなぐち菊水一番しぼり」、醸造アルコールを使わないで、かすとり焼酎を使った米のみの原料の「薫香ふなぐち菊水一番しぼり」もある。

菊水酒造は1881年創業の、新潟の酒蔵。皇国晴酒造と違って、伝統にとらわれないで、技術開発、合理主義で、新しい清酒を作り続けている。過去、いくども存続危機に遭ってきたからかもしれない。存続危機を、酒蔵一体となって乗り切った想いが、酒銘に込められている。

酒蔵によって考え方、拘り方が違うのは当然。だが、ふたつの酒蔵の社訓は、偶然に「呑む人のために良い酒を造る」と。一升瓶は買うのもたいへんだ。カップ酒で、ふたつの酒蔵の違いを、ぜひ、味わってほしい。

呑み比べたカップ酒
金冠ワンカップ・大関
白鶴ペーパーカップ・白鶴酒造
豪華生一本・皇国晴酒造
酔心・酔心山根本店
開運祝酒・土井酒造場
八海山・八海醸造
奥の松・奥の松酒造
ふなぐち菊水一番しぼり・菊水酒造
賀茂鶴純米酒・賀茂鶴酒造
羽陽辯天・後藤酒造店

2013/12/25

鶴亀



酒呑み歩き 神田・鶴亀

神田を呑み歩く。

5店目は「鶴亀」。店頭も店内も商店街の中華屋。中華屋が酒場になったのか、居抜きで中華屋を酒場にしたのか。そのへんはわからないが、現在は昼間営業なし、ランチなしの、りっぱな大衆中華酒場だ。

料理はオリジナリティある、旨い中華料理。日本人ごのみに、日本の酒に合わせた中華料理。よくある中華酒場は、いまいち清酒や焼酎に合わない。ビールと紹興酒など、肴に酒を合わせなければならない。「鶴亀」は、ふつうの酒場料理もあって、酒を呑みながら和洋中の肴を食べられる、楽しい大衆中華酒場だ。

ホッピーセット520円、ナカ210円はちょっと高いので、ハイボ250円と酎ハイ270円を頼む。酎ハイは1杯目のみにカットフルーツが添えられる。今日はメロン。他の酒は中生380円、大瓶580円など。ハイボと酎ハイだけがなぜか安い。

神田酒場は、同じような大衆酒場に見えるが、同じではない。最近はチェーン酒場や個性ない今風酒場も増えてきたが、40年も、50年もずっと営んできた酒場は、さすがだ。雰囲気がまったく違う。そのへんを楽しみながら、ぜひ、神田酒場を呑み歩いてほしい。

「鶴亀」の隣に「あすなろ」という同じような大衆中華酒場がある。どう違うのか、どう楽しませてくれるのか。

また神田に来よう。

2013/12/24

カップ酒を楽しもう!(1)



酒呑み比べ カップ酒の呑み比べ(前編)

カップ酒のイメージといえば、自販機やコンビニで、「気軽に酒が呑めればいい」というかんじだ。日本酒が多いので、「カップ酒」「日本酒」「よっぱらい」、そして保管状態も良くないので「旨くない」というかんじだ。

カップ酒は、日本酒の悪いイメージの象徴だった。

数年前にカップ酒のブームがあって、専門の酒場があったが、最近、小さな酒蔵が、おしゃれなカップでカップ酒を出して再びブームになっている。ガラスカップ以外の、割れにくい、再栓のかんたんなアルミボトルが出てきたり、乙類焼酎のカップやワインのミニボトルが出てきたり、いつでも、どこでも、色々な酒が気軽に呑めるようになった。

呑みきりで、旅行や出張、観戦や宴会などで気軽に酒が呑める優れたカップ酒。優れたところが、ようやく認められた。

カップ酒は、1964年に、灘五郷の酒蔵・大関の出した「ワンカップ大関」が始まり。「ワンカップ」は1合瓶という意で、登録商標だ。酒場で呑むコップ酒をそのまま商品にしようという考え。その後に、他のメーカーもカップ酒を出したが、大関のほぼ寡占市場。最盛期は年間1億本以上も売れたという。

その「ワンカップ」を作った大関は、1711年創業。日本酒は、オヤジが立ち呑み屋でコップで呑む安い酒というイメージだった。そのイメージを拭おうと考えた。コンセプトは、若者に街中でかっこよく呑んでもらう酒。だからロゴデザインも、カップデザインもこだわった。酒質もこだわった。だが、結果はオヤジが喜んで呑んだ。呑んで1億本も売れた(笑)。

再びブームになっている。大関の考えたコンセプトどおりに。自慢の酒を知ってもらおうと、呑んでもらおうと、味わってもらおうと、小さな酒蔵がカップ酒で出している。色々な純米酒や吟醸酒が気軽に呑める。コンビニも、保管状態を良くして、ブームを支えている。

ぜひ、今晩はカップ酒を。

2013/12/23

日本酒・青砥酒­造(島根)



酒呑み比べ 島根・青砥酒­造

かつて出雲国のあった安芸にある青砥酒­造は、1895年創業。まだ歴史はそんなにない。歴史のある町で始まった、これから歴史を作っていく酒蔵だ。

蔵元当代の新しく作った主銘柄で、雫取り、木槽搾り、無濾過、無加水にこだわった銘柄「蒼斗七星」。創業以来の、これまでの主銘柄「ほろ酔い」。「ゲゲゲの女房」の著者・武良布枝の地元ということで作った銘柄「ゲゲゲの夫婦酒」がある。

青砥酒­造は、米作りも酒作りもこだわって、酒瓶もこだわってる。

当代は、東京でモデル経験後に、家業の酒蔵を継いだ異色の蔵元。これから日本酒をどうやって作るか、どうやって売るか。これまでの作り方、売り方に縛られることなく、新しい感性で、新しい日本酒を作っている。

島根の酒は芳醇辛口が多いが、「蒼斗七星」は淡麗辛口。時代とともに日本酒も変わっていく。これまでの芳醇辛口の「ほろ酔い」と、これからの淡麗辛口の「蒼斗七星」。どちらを好むかは、呑む人しだい。

呑み比べた3本
ほろ酔いだんだん 生貯蔵酒・本醸造
Alc:16〜17・酒度:?・精米歩合:65%(五百万石)
蒼斗七星 木槽搾り・特別純米
Alc:16〜17・酒度:?・精米歩合:65%(佐香錦)
蒼斗七星 木槽搾り・純米吟醸
Alc:16〜17・酒度:?・精米歩合:58%(佐香錦)

「佐香錦」は、「山田錦」が島根では栽培に適さないために、20年の研究、開発のすえにできた島根地産の酒米。島根の酒神を奉る佐香神社(別名松尾神社)が由来。
澄んだ香りと、酸味のある淡麗辛口な味わい。「蒼斗七星」は、この「佐香錦」の旨味をひきたてる酒だ。

ぜひ。

2013/12/21

すみれ



酒呑み歩き 渋谷・すみれ(再配信)

中生120円は初配信時

2013/12/20

升亀+神田酒場の話



酒呑み歩き 神田・升亀+神田酒場の話

神田で呑み歩く。

ガード下の「馬力」で呑んで、隣の「大越」で呑んで、歩いて5歩くらいの、隣の「升亀」で呑む。揚げものの旨い大衆酒場だ。

客はけっこう入ってるが、妙な静け。琴の調を聞きながら、ホッピーセット380円とナカ280円をひとつずつ頼む。はしご酒の定番。

大瓶480円。レモンサワー300円、酎ハイ280円。隣と比べるとちょっと安い。肴はとにかくボリュームがある。

40年も続いた「升亀」は2013年12月に閉店とのこと。「升亀」の閉店理由は知らないが。神田の大衆酒場の、神田酒場の名店がなくなる。

神田は再開発中だ。

徳川幕府から、日本の政治、経済、文化の中心であり、三権の中心である千代田区。皇居もある。その中心の中心を囲むように、神田界隈には中小の会社が集まっている。

神田は、開府に合わせて、徳川家に従ってきた三河国の職人、商人の移り住んだ城下町だ。未だ古き町並を残している。そのためか、都心としては物価も安い。周辺会社のサラリーマンを目当に安い大衆酒場も多く、夜になるとたくさんの酒好きが集う。遠方からも酒好きが集う。まさしく庶民ための大衆酒場。

ちなみに昔はサラリーマンを目当に売春や消費者金融の店も多かった。

神田は、日本の中心の中央区でありながら、大衆酒場も多い。酒好きには嬉しいところだ。だが、その一方で、神田に住む住人、千代田区には嬉しくないところもある。

千代田区の夜間人口は昼間人口の1/20しかない。つまり住んでる人が少ない。神田は、少子高齢化、人口減少化によるコミュニティの停滞に悩んでいる。また、JR、東京メトロの神田駅の乗降客も、交通利便を考えてもとても少ない。通勤と酒好き以外に人の集まらない街。

そういう現状をなんとかしようと、現在再開発が進んでいる。過去の再開発と違うのは、鉄道会社などの企業ではなく、地域主導の再開発。地域活性を目的に、官民、地域が一緒になって再開発を進めている。

住宅街が壊されてビルが建ち、商店街がなくなって商業施設ができる。駅前も整備が進んでいる。街の風景は変わっていく。

「升亀」の閉店理由は知らないが。

神田の大衆酒場を、神田酒場を楽しめるのは、今しかない。ぜひ。

2013/12/19

髙橋(2)+浅草酒場の話



酒呑み歩き 浅草・髙橋(後編)+浅草酒場の話

浅草のホッピー通りにある「髙橋」で、クジラを食べる。

平日昼間だが、たくさんの観光客で賑わう。ちょっと不思議なかんじ。

スタッフに、片言の日本語でモヒートを勧められる。

最近、よく見かけるモヒート。元来はラムベースのカクテル。アレンジが多く、酒場によってレシピは変わる。メーカーが、ハイボールの次のブームに考えているらしい。浅草の酒場で呑めるとは。

ホッピー通りで「バイスサワー」とモヒートを呑む(笑)。よし、肴はクジラの竜田揚げを食べよう。

バイスサワー400円、モヒート450円。クジラのベーコン650円、竜田揚げ650円。酔う前に予算オーバー。

店内を見わたす。中生600円、ホッピーセット450円、サワー&ハイボ400円と、ふつうの大衆酒場に比べると、ちょっと高い。さきほどの酒場も似た価格。いわゆる観光地価格。

せっかく観光に来たんだから、有名なモノを食べて、有名なモノを呑んで。満足。そんなかんじ。観光地の土産屋。祭の露店。日本一の電波塔の売店。超有名な遊園地のレストラン。

まあ、そんなかんじ。たまには。でわ。

大越+ホッピーの話



酒呑み歩き 神田・大越+ホッピーの話

神田で呑み歩く。

ガード下の「馬力」で呑んで、歩いて5歩くらいの、隣の「大越」で呑む。創業50年も続いている、魚介の旨い大衆酒場だ。

うるさいというより、賑やか。初めての酒場でも、わかる。居心地の良さ、まさしく「居酒屋」だ。

大瓶500円。サワー350円、ハイボ&酎ハイ300円。とりあえずはホッピーセット550円とナカ300円をひとつずつ頼む。

ホッピービバレッジの勧める「ホッピー」の旨い呑み方は別として、酒場での呑み方は、氷と焼酎の入ったジョッキ、そして「ホッピー」のホッピーセット。できればジョッキも焼酎もホッピーも冷えてると嬉しいが、そのへんは酒場の良心次第。3つとも冷えてないと、溶けていく氷を見ながらホッピーを注ぐ。ホッピーが余るので、おかわり焼酎を頼む。溶けた氷の上に氷と焼酎を入れる。またまたホッピーが余るので、おかわり焼酎を頼む。ふつうは3杯も呑めると喜ぶが、酔う前に胃はどぶどぶに。こういう酒場は悲しい。

大衆酒場は、氷の入った、冷えたジョッキに焼酎をなみなみと入れる。スタッフが「サービスね」という顔で、冷えたホッピーとともに置く。「ホッピーの焼酎割り」のよう。ホッピーが余るので、おかわり焼酎を頼む。また、スタッフが「わかったよ」という顔で、氷を捨て、新しい氷と、さらになみなみと焼酎を入れる。3杯は呑めると喜ぶが、もうぐでんぐでんに。こういう酒場は嬉しい。

客と店が良い居心地を醸す。初めての酒場は客筋を見ればわかる。良い店は良い客を呼ぶ。良い店に入ったら良い客であろうと学ぶ。学ぼうとしない客は入れない。「居酒屋」は、ただ楽しく呑む処ではなく、呑みながら楽しく学ぶ処だ。

「大越」では「ハイリキプレーン」の1L、ジャンボチューハイが950円で呑める。呑み忘れた。次に呑もう。ぜひ。

2013/12/17

髙橋(1)+鯨料理の話



酒呑み歩き 浅草・髙橋(前編)+鯨料理の話

浅草のホッピー通りを呑み歩く。

ホッピー通りといえば、別名で煮込み通りというくらい、ホッピーと煮込みで有名。それぞれの酒場で、それぞれの味の煮込みが食べられる。あとクジラ。有名なところは「捕鯨船」。意外とクジラを食べさせてくれる酒場も多い。酒好きの下町料理といえば、昔からのそばがき、天ぷら串あたり。そして煮込み、どぜう鍋。クジラも勧めたい。ということで、そのうちの1店、「髙橋」に入る。

日本の、世界のクジラの捕獲、保護については賛否両論があるので。パス。

日本近海はクジラの回遊路ということもあって、縄文時代からクジラを捕って食べていた。獣肉を禁じていたので、魚肉と見なされた鯨肉を食べていた。戦後の食糧難時は貴重な蛋白源ということで鯨肉を食べていた。実は、鯨肉は獣肉より優れた食肉だ。栄養価は高い。

1987年捕鯨禁止。

そのころから。獣肉の生産、加工、流通、保存技術の発達、そして食文化の欧米化によって鯨肉は食べなくなった。外国からの輸入、調査捕鯨などで鯨肉は食べられるが、高価で。戦後の印象か、鯨肉は獣肉の代用というイメージで。また、独特の香りと味わいが嫌で。鯨肉は食べなくなった。

今のクジラは、豪華(?)な下町料理。戦後の思い出の味。給食の思い出の味。庶民の味は、遠い昔の味になっている。

クジラのベーコンを食べる。よし、酒は「バイスサワー」を呑もう。

「バイスサワー」は清涼飲料メーカー、コダマ飲料の出している割りもののひとつ。赤しその味。「梅酢」という意。酢は入っていない。甲類焼酎を割って呑むサワー、炭酸の入ってない原液がある。原液は炭酸水を混ぜる。

「ホッピー」や、後藤商店の「ホイス」などとともに、昔の大衆酒場で呑んでいた酒。庶民は、ビールやウイスキーは高くて呑めなかったので、安い焼酎を割って作ったもの。ビールの代わりに「ホッピー」を、ウイスキー(ハイボ)の代わりに「ホイス」を呑んだ。また、安い焼酎は旨くなかったので、ごまかすために混ぜたもの。

今は、ビールもウイスキーも安く呑めるし、焼酎も旨いし。ということで、そういう酒はなくなったと思っていた。だが、いわゆる下町酒場で、懐かしいのか、新しいのか、よく呑まれているらしい。

浅草観光後、ホッピー通りの酒場で「バイスサワー」を呑む。クジラのベーコンを食べる。ぜひ。

2013/12/16

日本酒・天鷹酒造(栃木)



酒呑み比べ 栃木・天鷹酒造

天鷹酒造は有機清酒を謳う酒蔵。銘柄は蔵名の「天鷹」。

有機米と有機麹だけの純米酒、その有機米を60%、50%も磨いた吟醸酒にこだわっている。そのために地元の米農家と「米作り酒造りの会」を作って、最上の日本酒を作り続けている。

また、甘口主流の創業当時も、「辛口でなければ酒ではない」と頑に辛口で呑み飽きない端麗辛口酒だけを作り続けている。その姿勢で、1914年創業という、比較的歴史の浅い酒蔵でありながら、多くの受賞歴に輝いた。

すべてが精米歩合50%という大吟醸酒を呑み比べたが、酒米の個性はちゃんとある。最強の酒米「山田錦」の力だろうか。すっきりしたなかに、ふくよかな香り、味わいはちゃんとある。特に熱処理(火入れ)してない生酒は、辛口ながらも、フレッシュ感、フルーティ感に満ちている。

最近の端麗辛口嗜好に、ぴったりだ。ぜひ。

呑み比べた3本
天鷹 鷹の羽・純米吟醸
Alc:15・酒度:+1・精米歩合:50%(あさひの夢)
天鷹心・純米大吟醸
Alc:15.3・酒度:+5・精米歩合:50%(山田錦)
天鷹心 生酒・純米大吟醸
Alc:16・酒度:+5・精米歩合:50%(山田錦)

2013/12/14

ぼたん



酒呑み歩き 五反田・ぼたん(再配信)

中生160円は初配信時

2013/12/13

馬力(2)+赤ホッピーの話



酒呑み歩き 神田・馬力(後編)+赤ホッピーの話

神田の大衆酒場「馬力」で馬刺を食べる。あまり食べないが、馬肉は、栄養価も高くてヘルシーな食肉だ。

馬肉の色が桜色というで「サクラ」という肉色説。また、江戸時代、獣肉を食べるのは禁じられていた。だが、貴重な蛋白源であったので、そのまま呼ぶのは憚れる。猪肉を「ボタン」と、鹿肉を「モミジ」と呼んだように、隠語で、馬肉を「サクラ」といったという隠語説。まあ、どちらでもいいか。

九州や信州などの馬肉を食べるところは競走馬の名産地。勝てない、走れない競走馬を食用に回していた。ただ、馬肉は食肉としてはコストが高くて、食べられる部位が少ない。そのために現在は輸入が多い。

「馬力」では「とろ刺し」「レバー刺し」「ヒレ焼き」が食べられる。「とろ」はバラ肉(あばら骨のまわりの肉)の最上部位だ。

「馬力ハイ」の次はなにを呑もうかと見わたす。京都で有名な「ばくだん」があった。東京の「デンキブラン」のような大衆酒で、赤ワイン(サントリーの「赤玉スイートワイン」に限る)と甲類焼酎を混ぜた酒。酒場によってオリジナルレシピがある。サンムーンというメーカーが「京都赤酒ばくだん」という商品を出している。サイダーで割るのが定番。東京では呑めないので、考える。けっこう甘そうなので「赤ホッピー」を頼んだ。こちらも、なかなかと呑めない。ホッピー(白ホッピー)や黒ホッピーは置いてあるが、「赤ホッピー」を置いてある酒場は少ない。

「赤ホッピー」は、正しくは「55ホッピー」という。ラベルが赤いことや、「ホッピー」、「黒のホッピー」との区別から「赤ホッピー」という。「ホッピー」の発売55周年に出された「プレミアムホッピー」だ。業務用瓶(360ml)はない。家庭用瓶(330ml)のみだが、白や黒の倍の醸造時間をかけてるために、価格も、酒場での価格も高い。その味わい、色あいは白と黒の中間くらい。

馬刺を食べながら、「赤ホッピー」を呑む。旨い。ぜひ。

2013/12/12

酒米による味の違い?+酒米の話



酒呑みログ 長野・美寿々酒造+酒米の話

過日、「酒呑み比べ」で呑み比べた「美寿々」。その酒蔵・美寿々酒造の熊谷氏と会って、日本酒について色々と聞いた。

地元の酒米「美山錦」を使って酒を作り続ける美寿々酒造。

最強の酒米「山田錦」に対して、決して負けない酒米と思いながらも、毎年開催の全国新酒鑑評会では「山田錦」の酒が評価を受ける。そのくらい「山田錦」は最強の酒米だ。一時期、ほとんどの酒が「山田錦」を使い、またほとんどの受賞酒が「山田錦」のため、「山田錦」の別枠が設けられたほど。現在は色々な酒米を使った酒が増えてきたが、当時は辛かったらしい。

「山田錦」はそれだけ優れた酒米。だが、他の酒米も、その特性を旨く使えば、「山田錦」にはない魅力のある酒を作れる。

地元の酒米と水を使った地産の酒が多くなってきたのはいいことだ。「美寿々」も大吟醸以外は「美山錦」、その改良酒米「新美山錦」を使っている。「新美山錦」は地方では「ひとごこち」という。

ワインはブドウの品種によってはっきりわかるが、日本酒は酒米の品種以外に、麹によって大きく変わるため、酒蔵(杜氏)の技術によるところが大きい。

現在の辛口嗜好に酒蔵も悩んでるそうだ。

本来純米酒は甘い。特に麹をちゃんと作ると糖度があがるので甘く感じる。最近は純米酒ブームで、なおまつ端麗辛口嗜好。米選びや麹作りで酸味を強めに出して、味を締める。そうするときりっとした味わいになる。

純米酒は冷やして呑むと甘く感じるが、冷やしすぎると本来の旨さはわからない。ほんとうに旨い酒は燗酒のほうが旨味を感じやすい。「冷えてる」と「旨い」は違う。ごまかされる。10度くらいで呑むのがいい。

逆に燗酒で呑んで旨くない酒は、冷やしてごまかして呑む。燗酒は日本酒の本質がわかる。

色々と楽しかった。旨い日本酒を、ぜひ。

2013/12/11

馬力(1)+コアップガラナの話



酒呑み歩き 神田・馬力(前編)+コアップガラナの話

神田の大衆酒場を呑み歩く。まだ13時。

焼きとり屋「馬力」はガード下にある有名な大衆酒場の1店。他の2店と違って若いスタッフが多い。気になる酒、肴を見わたして、店の名のついた「馬力ハイ」を頼む。どうやら焼酎は「金宮」らしい。いったいなにで割ってるのか。

ガラナエキス。

ガラナは、種に、カフェインやタンニンが豊富に含まれて、疲労回復や滋養強壮に用いられる。そのガラナエキスを使った炭酸飲料(ガラナ飲料)は原産国のブラジルではよく飲まれる。

日本では、1958年にアメリカから入ってきた「コカ・コーラ」に対して、全国清涼飲料協同組合連合会という謎の組織がガラナ飲料を広めようとがんばったが、コーラに負けてしまった。ただ、コーラの製造、販売が他の都府県より遅れた北海道では勝った。おかげで、現在でもコーラより飲まれている。北海道人愛飲の飲料だ。

その後にガラナ飲料は、日本コアップと名を変えた謎の組織が「コアップガラナ」という統一商標で、いくつかのメーカーに受託製造している。北海道では小原、北海道以外では、あのホッピービバレッジの寡占状態らしい。

「馬力ハイ」の次はなにを呑もうかと見わたしたら、「ばくだん」があった。めずらしい。

「ばくだん」は、その赤色から「あか」とも呼ばれる、京都で有名な酒。

赤ワイン(サントリーの「赤玉スイートワイン」)と甲類焼酎をまぜて作る。ストレート以外に、サイダーなどで割る。けっこう甘い。酒場によって色々と違う大衆酒場の酒だ。ストレートで呑むときは、「デンキブラン」と同じようにビールをチェイサーに呑むらしい。サンムーンというメーカーが全国販売している。

東京で、「バクダン」というと焼酎のビール割り。韓国で「爆弾酒」というとウイスキーのビール割り。まあ、京都も東京も韓国もただのちゃんぽん。

あと、戦後に「バクダン」という酒があった。

戦中、サツマイモを原料にした航空燃料のエチルアルコールを作った。焼酎と同じ蒸留製法で作ったので呑める。だが、大事な燃料なため、呑まないようにメチルアルコールを混ぜた。さらにまちがわないようにピンクに着色。戦後、この燃料が流れて、脱色、気化、メチルアルコールを除いて作った焼酎。まあ、そこまでして呑みたいわけ。ここまではいいが、うまく除けなかったり、めんどいから除かなかったりした「バクダン」を呑むと、失明。

ちなみに「赤玉スイートワイン」は、サントリーの創業者が1907年に「赤玉ポートワイン」という名で出した。ラベルに赤い丸(太陽)が描かれている。1922年にヌードポスターで話題になった。

2013/12/10

鈴芳+生ホッピーの話



酒呑み歩き 浅草・鈴芳+生ホッピーの話

浅草を呑み歩く。

ホッピー好きにとって浅草寺の西側にあるホッピー通りは見のがせない。煮込み通りとも呼ばれて、100mもない通りの両側に20〜30の露天酒場が並んでいる。ほとんどの酒場にホッピーと煮込みがあって、こう呼ばれている。

その中に、浅草で生ホッピー(生樽ホッピー)が呑める唯一の酒場「鈴芳」がある。瓶ホッピーが500円。生ホッピーが550円。他にバイスサワー(500円)、デンキブラン(450円)、カンダハイボール(500円)、天羽梅ハイ(500円)などがある。とっても大衆酒場、下町価格ではないが、色々な変わった酒が呑めるので許されているのか。まあ、下町観光のための酒場だ。周囲を見わたしても地元人はいない。やたらと外国人が多い。

こういう酒場のスタッフって怒りがちだなと思いながら、ハーフ&ハーフを頼む。

旨い。だが、氷が入っていた。「生ビールに氷を入れるか」と言おうとしたら、メニューに氷なしもできる書いたあった。でも、ふつうは言わなくても入れないよな。

ふつうの酒場で、3冷でホッピーを呑めないので、クリーミーな泡が味わえなかったのは残念。生ホッピーは、生ビールと同じように流通、酒場での保存管理がちゃんとしてれば、ほんとうに旨い。

生ホッピーの置かれた酒場は少ない。常温管理の瓶ホッピーとは違って、ちゃんとした酒場でないと置かれない生ホッピー。ホッピーは、こういうものなんだと気づくだろう。もし見かけたら、ぜひ。

ちなみに生ホッピーは、生ビールと同じように熱処理してないということではなくて、生ビールと同じようにサーバで注いでいるということ。瓶ホッピーと同じもの。熱処理している。ただ、生ビールと同じように、瓶ホッピーで味わえないクリーミーな泡が味わえる。氷を入れなければ。

2013/12/09

日本酒・奥の松酒造(福島)+全米の話



酒呑み比べ 福島・奥の松酒造+全米の話

メジャーの銘柄になればなるほど、万人に受けなければならない。「日本酒はこういうものだ」という、日本酒に対する肯定的な、また、否定的なイメージはあるが、少なくても「旨い」と思わなければ、次に呑まなくなる。

そういう現状で、酒蔵は新しいタイプの日本酒を作ったり、一方で、伝統どおりの日本酒を作り続けたり、日々研鑽を怠らない。

奥の松酒造という酒蔵がある。銘柄は蔵名のとおり「奥の松」。有名な銘柄だ。コンビニでも見かける。地元「奥州」と「二本松」にちなんだ蔵名。創業は1716年。約300年も守り続けた伝統と技術によって有名になった銘柄だ。

全米吟醸酒という「奥の松」がある。純米吟醸酒ではない。

昔は、日本酒は米だけで作っていたが、米だけで作ると腐造の危険も多く、その回避のために米焼酎やかすとり焼酎を加えるようになった。だが、今は技術の向上で加えなくても腐造を防げるようになった。

焼酎を加えるのは腐造回避のためだったが、戦後の米不足から一時期日本酒の嵩を増やすために醸造アルコールを加えた三倍増醸清酒がでてきて、「醸造アルコールを加えた日本酒は旨くない」という否定的なイメージが広がった。その後に合成清酒もでてきて、ますますと日本酒の否定的なイメージが広がった。そういう日本酒が主流を占める時期が長く続いたために、本来の、米だけで作った純米酒が反って新しいイメージとなって、今の純米酒ブームとなる。

全米吟醸酒とは、自社の純米酒から作った米焼酎を加えた、全てが米で作った吟醸酒ということ。そういうことなら昔の米焼酎を加えて作った日本酒は全米酒といえる。だが、なぜ、手間をかけて純米吟醸酒ではなくて全米吟醸酒を作るのか。

昔の日本酒は甘口が多く、香味を付ける、味を締める(辛口にする)ために、米焼酎を加えていた。つまり全米吟醸酒は、伝統どおりに作った日本酒だ。

呑み比べた3本
奥の松サクサク辛口・本醸造
Alc:15・酒度:+2・精米歩合:65%(?)
奥の松 全米吟醸
Alc:15・酒度:+5・精米歩合:60%(?)
奥の松 純米吟醸
Alc:15・酒度:+1・精米歩合:58%(?)

全米吟醸酒は、純米吟醸酒より重く、辛く、呑んだ後に、すっと抜けるかんじ。「キレ」とはちょっと違う。今の純米酒に呑み慣れると、昔の日本酒というかんじ。このへんは好き嫌いはあるかも。ちなみに吟醸は精米歩合60&以下ということで、醸造アルコールが入った本醸造酒も精米歩合が60%以下なので「吟醸酒」となる。

注記
かすとり焼酎:日本酒の酒粕で作った焼酎。「粕取り」が語源。ちょっとクセがある。戦後の「カストリ焼酎」は「酒粕で作った粗悪な密造焼酎」。まったく違うので。

醸造アルコール:食用エタノール(酒精)。主に糖蜜(サトウキビ)、他にサツマイモ、トウモロコシなどを発酵、蒸留したもの。36度未満は甲類焼酎、ホワイトリカーとして売られている。

三倍増醸清酒:戦後の米不足から、醸造アルコールや色々なものを混ぜて薄めて作った日本酒。醸造アルコールといっても原料はわからない。3倍くらいになるのでこう呼ぶ。

合成清酒:醸造アルコールに色々なものを混ぜて作った日本酒もどき。実はまだ作られている。いわゆる「みりん」だ。正しくは「みりん風調味料」だ。ややこしい。「本みりん」は日本酒の作る時にできるかすとり焼酎で作られる。

2013/12/07

日本酒・後藤酒造場(三重)



酒呑み比べ 三重・後藤酒造場

後藤酒造場は1677年から続く古い酒蔵。歴史だけではなく、全国新酒鑑評会で金賞5回という実績もある。そして数年前に三重で作られた新しい酒米「神の穂」。酒米で有名なのは兵庫の「山田錦」だ。全国新酒鑑評会で上位を占めるようになり、一時期は山田錦で作った酒は別部門となるくらい。しかし地元の酒米で酒を作りたいということで、求められて「神の穂」は作られた。

「神の穂」の純米吟醸は、華やかな香りと優しい旨味ある味わい。今風の日本酒。
日本酒は未だ生酒ブーム。だが、なかなかと家で生酒を呑めるものではない。一升瓶を冷蔵するのはたいへん。今回は純米吟醸を勧めるが、もし店で無濾過生も呑んでほしい。ぜひ。

呑み比べた5本
・颯・純米
 Alc度:16~17・酒度:+3・精米歩合:60%(神の穂)
・颯 無濾過生・純米吟醸
 Alc度:17・酒度:+2・精米歩合:55%(神の穂)
・颯・純米吟醸
 Alc度:16・酒度:+2・精米歩合:55%(美山錦)
・颯・山廃純米
 Alc度:15.5・酒度:+3・精米歩合:60%(山田錦)
・颯 無濾過生・純米吟醸
 Alc度:17・酒度:+2・精米歩合:55%(山田錦)

2013/12/06

さつま+赤星&ラガービールの話



酒呑み歩き 神田・さつま+赤星&ラガービールの話

サラリーマンの集う神田の大衆酒場を呑み歩く。サラリーマンの大衆酒場といえば、新橋・浜松町や銀座・有楽町だが、神田。午前10時開店の「さつま」に入る。店内は客でいっぱい(笑)。

「さつま」は鹿児島県人のオーナーが営む立ち呑み屋。さつま揚げ(450円)や、きびなご焼き(450円)などの現地直送の肴が食べられる。まずは「赤星」で乾杯。大瓶で400円という安さ。酎ハイ、ウーハイは310円。

でも、やっぱりここに来たら「赤星」だろう。

「赤星」。正しくは「サッポロラガービール」。酒場でしか呑めない熱処理ビール。

開拓使麦酒醸造所が、北海道開拓時代の1877年に作った、今もある日本最古のビールブランド。開拓使のシンボルである北極星(赤い星)をラベルに描いてあるので「赤星」。

なぜ、「赤星」は酒場でしか呑めなくなったのか。

「赤星」は熱処理ビールで、生ビール・ブームにできた「黒ラベル」の発売に合わせてなくなる予定が、酒場のオーナーたちに「この昔の香りと味わいがいい」と言われて、酒場限定流通のビールとして残った。ちなみにキリンも、生ビール・ブームに負けて「キリンラガービール」を生にしたが、改めて「キリンクラシックラガービール」という名で熱処理ビールを限定発売。好評のために今は一般発売となってる。ややこしい。

いずれも生ビールに負けてなくなりかけていた熱処理ビール。技術向上によって生ビールがビアホール以外で、店や家で気軽に呑めるようになって、「生ビールは旨い」というブームに負けて熱処理ビールは、なくなりかけていた。

ラガービールは熱処理ビールではなくて、ビールの1種。ビールは大別して下面発酵のラガービールと上面発酵のエールビールがある。

日本でよく飲まれているラガービールは、すっきり、シンプルな味わい。料理を食べながら呑む、水のようなかんじ。大量生産に向き、香り、味わいは似たよう。つまり、個性の出しにくいラガービールの中で、生ビールも、熱処理ビールもそう変わらない、いや変えにくい。

技術向上が、気軽に呑めなかった生ビールを、店で、家で呑めるようにした。呑む酒の選択肢を増やしてくれたことは嬉しい。

昔から呑んでいた酒が、やっぱりいちばん旨い。生ビールとか、熱処理ビールとか、なんとかブームではなくて、やっぱり旨いと思う酒を呑む。そういうビールが呑み継がれていく。

じぶんが旨いと思うビールを呑もう。ぜひ、呑んでほしい。

2013/12/05

河米伊藤酒店+本搾りの話



酒呑み歩き 赤羽橋・河米伊藤酒店+本搾りの話

角打ち酒屋を求めて歩く。

丸辰有澤酒店のちょっと先に、まったく趣の異なった河米伊藤酒店がある。オープンスタイルの角打ち酒屋。広い店内に、色々な酒が並ぶ業務用冷蔵庫、菓子や缶詰、そして洗剤も並ぶ陳列棚。コンビニなみ。その店内の半分ほどが調理と立ち呑むスペースになっている。パーティションの向こうの調理場からいい匂いが。

好きな酒と肴を取ってレジで精算。そのまま立ち呑んで食べる。酒は店頭価格+50円、肴は菓子や缶詰はほぼ店頭価格。冷蔵庫の手づくりの総菜は200〜300円。総菜はレンジで温めてくれる。まさしく酒好きのワンダーランド(笑)。大瓶を380円で呑めるのはなかなかない。

嬉しいのはキリンの「本搾り」があった。酒屋だからあたりまえか。

我が家の常備飲料はキリンの「淡麗」と「本搾り」。水は「ボルヴィック」を飲んで、昔は「ラガー」「一番搾り」を呑んでいたので、もしかしたらキリンファンかもしれない(笑)。

常備飲料は2週に1箱ずつ補充。なくなる前に買い足すが、うっかり忘れてしまうと、とっても困ってしまう。なぜ困ってしまうのか。「淡麗」はどこでも売ってる。でも、「本搾り」はどこにも売ってない。どうしようもないので、同じキリンの「氷結」を呑むが、呑んだこと、買ったことに悔やんで、ますます「本搾り」を呑みたくなってしまう。どうして「本搾り」は売ってないのか。

「本搾り」は、ジャパニーズワインで有名なメルシャンが出していた缶チューハイ。酎ハイブームの2003年に出した。

「氷結」も含めて、多くの缶チューハイは甘い、とっても甘い。その中で「本搾り」は甘くない。ウォッカと果汁以外は無添加。添加物ばりばりで、果汁ちょっとの缶チューハイばかりの中で、この旨さといったら。

メルシャンは会社経営に色々とあって、キリンのグループになって、ワインの専業となって、「本搾り」はキリンに移って、セカンドラインとなって、現在に至る。たしかに「氷結」は「本搾り」より早く出たし、缶酎ハイのトップブランドになったし。

ということで、あのカクヤスでさえもロング缶はいつも入荷まち。それでも「本搾り」を呑みたいという、一部のファンによって支えられてる。(いまさら気づいた)キリンファンとして言いたい。「氷結」も大事でしょうが、「本搾り」も大事にしてほしい。

「本搾り」の旨さと、「本搾り」ファンの悲しさを、一緒に呑み歩いた二人にとうとうと話してたら、19時。次の酒屋が閉まってしまう。…いや、閉まってしまったか…。

赤羽橋(芝〜三田周辺)にはまだ角打ち酒屋がある。休日は赤羽橋で酒呑み散歩を、ぜひ。

KFC ROUTE25(2)



酒呑み歩き 下北沢・KFC ROUTE25(後編)

下北沢に、なぜ酒の呑める、なぜ世界で唯一のケンタッキーフライドチキンがあるのか。スタッフに聞いてみた。

「ROUTE25」は2012年4月にオープンした。カーネル・サンダースが最初に店を出した通りの名が店名の由来。以前に別のところにあった下北沢店が、ここに移った時に実験店として酒を置いてみた。

フライドチキンを食べながら酒を呑みたい人はテイクアウトしかなく、家に帰る頃には冷めてしまう。それならイートインで酒を呑めればいいのでは、と考えたのがきっかけ。そういう需要を調べる為に作った。

スタッフはアルバイト。シェーカーは振れない。…すみません、仕事中に色々と聞いて。

とにかく温かいフライドチキンを食べながら、ビールやハイボが呑めるようになった。たしかにデリバリーでもいいが、家で一人で食べ呑みするのも悲しいし、いい雰囲気のバーでノーチャージで食べ呑みするのも楽しいし、そういう店を作ってしまったケンタッキーフライドチキンのために、ぜひ。

2013/12/03

丸辰有澤酒店



酒呑み歩き 赤羽橋・丸辰有澤酒店

赤羽橋に角打ち酒屋があると聞いて呑み歩く。

赤羽橋で日本酒を呑ませてくれる角打ち酒屋「丸辰有澤酒店」。意外と知られてないのは、取材、撮影、SNSはNGのため。同業の酒屋、卸先の酒場への配慮だ。

レジの横の狭い通路を通ると、裏の倉庫にビールや日本酒のケースで作られたテーブルとイス。17時を過ぎると常連客がひっそりと集う。なんとなくアンタッチャブルな雰囲気が漂う。

だいたいの日本酒が1合350〜400円、5勺(1合の半分)で200円くらい。かんたんな肴もある。

ふつうの酒場では定番銘柄しか呑めず、日本酒専門の酒場では1杯700〜800円以上となるが、ここでは色々な銘柄が安く呑める。週替わりで色々な日本酒を開けてくれるので、呑んで旨かったら表のレジで買っていく。日本酒好きにはたまらない呑み処だ。

蒸留酒は開栓後の保存をあまり気にしないが、日本酒やワインなどの醸造酒は、開栓後はちゃんと閉栓、冷蔵しなければならない。数日で呑まないと酸化で味が変わってしまう。そのためコップ(グラス)売りはしてくれない。特に「生」の日本酒を呑みたいときは、日本酒専門の酒場で呑むしかない。ここでは生酒も、純米吟醸酒も、なかなかと呑めない日本酒を呑める。安く。

残念なのは、来る常連客はビールを呑んで、帰ってる。「せめて3杯は呑みたい」と言ってる隣で、もったいないと思う。

3人で行ったので、都合9種の日本酒が呑めた。旨かった。詳細は書けないが、もし日本酒が好きなら、ぜひ。

2013/12/02

日本酒・藤井酒造(広島)



酒呑み比べ 広島・藤井酒造

藤井酒造という名の酒蔵は鳥取、福島などにもあるが、今回の紹介は広島の藤井酒造。

1863年創業。150年前から純米酒にこだわり、米不足の戦中も純米酒を作り続けて現在に至る。創業以来から作り続けてきた「龍勢」と、「宝寿」いう銘柄を持つ。「龍勢」は1907年開催の第1回全国清酒品評会で第1位受賞の銘酒だ。

最近の酒蔵は酒米にこだわっている。藤井酒造も最上の山田錦以外に、山田錦の親種である岡山の雄町、広島の八反錦を使っている。雄町は磨いても米の旨味たっぷり、ふっくらした味わいを楽しめる日本酒好きむけ。逆に八反錦は吟醸香の高い、澄んだ味わいの今風の日本酒を楽しめる。

「裏・龍勢」は、力の強い、腰のある、日本酒らしい日本酒。ぜひ。

呑み比べた3本
・龍勢 雄町無濾過生原酒・純米酒
 Alc:16・酒度:+6・精米歩合:65%(雄町)
・裏・龍勢 特詰・純米原酒
 Alc:18・酒度:+3・精米歩合:65%(雄町)
・涼風夏生・特別純米生酒
 Alc:16.5・酒度:+5・精米歩合:65%(八反錦)